株式会社ビーエスフジ
番組審議会 議事概要
BSフジ番組審議会事務局
第88回
- 開催年月日
- 平成30年4月4日(水) 午前11時より
- 開催場所
- 東京都港区台場2-4-8 BSフジ
- 出席者
-
今井 通子 委員長/医師・登山家 小玉美意子 副委員長/武蔵大学名誉教授 今野 勉 ㈱テレビマンユニオン非常勤取締役・最高顧問 鈴木 おさむ 放送作家 林 高広 ㈱資生堂パーラー常勤顧問 三屋 裕子 ㈱サイファ代表取締役 矢内 廣 ぴあ㈱代表取締役社長 堀 晃和 ㈱産業経済新聞社編集局文化部長 - 議題
- <金曜+1>『RAMEN-DO ~The Soul of Japan~』
(毎週金曜23:00~23:55)
第1回 「べんてん」/田中光勝 2018年2月2日(金)放送
議事概要
BSフジ番組審議会が4月4日に開かれ、『RAMEN-DO(ラーメン道)~The Soul of Japan~』を審議した。
「ドキュメンタリーには常道であるナレーションを入れない作り方が新鮮」「ラーメンを“○○道”という切り口にしたのがおもしろい」などの意見が出た一方、「出演者の年齢などの基本情報がなかった」との意見も出た。
委員の発言の概要は以下の通り。
- 実際に「べんてん」に食べに行ってきた。11時開店で5分前についたらもう20人並んでいて、11時45分に店に入れた。しょう油ラーメンを食べたが、味玉も入れて合計900円だった。濃厚な出汁で鰹節の香りがしておいしくいただけた。このように番組が視聴者に行動を起こさせるというのが番組の醍醐味だと思う。
- 1時間の放送時間は視聴者には長すぎるのではないかと思った。
- 今、地上波のテレビは、制作者のこだわりが詰まった「作品」を作れなくなった。10~20年前は制作者の気持ちが入った番組が作れた。しかしこれは明らかに「作品」であり、BSでは作れるのだと希望を持った。
- 僕はグルメではないのでミシュランだと入口が開かないが、この作品はラーメンという半径5mにある題材。加えて店主のギャップの人生、映像のきれいさで見ごたえがあった。
- ニッチなところを攻めていてクオリティが高い。『料理の鉄人』を始めた頃の古き良きフジテレビの感じの目線の遊び方がすばらしい。
- これは番組を超えたコンテンツ。海外の人が見てもおもしろい、90分の映画にして公開すればマネタイズもできるし、儲けるということよりも作品として外に発信していける。
- 好きな人が好きなものをちゃんと作っていて、エンターテイメントになっているからすばらしい。
- 食べてから見るか、見てから食べるか、悩んだ。
- グルメ番組というよりは良質なドキュメンタリーのようだと思った。ナレーションがなぜないのかと思ったが、後で狙いが分かった。
- 私も番組を見てから店に食べに行った。僕はチャーシューとメンマをつけて1350円だった。
- 店主の年齢、「べんてん」の創業年などの表記がないのが気になった。また店主の名前の読みがなく、ローマ字表記しかなかったので、それらの基本情報があればよいと思った。
- ナレーションやスーパーをうまく入れるとわかりやすいのにと思いながら見たが、ここまでこの店主の魂の奥深いところを引き出すためには解説してしまったら面白くないのかとも思った。
- 2回見たが、1回目に見た時には物足りないものがあった。「○○道」というからには我々にも感じ取らせてくれる、何か深掘りしたものがほしかった。
- 同じようなカットが何度か出てくるのがだれて見えた。店主のしゃべりも何度か同じものが出てきたので、それだったら30分番組でもよいと思った。しかし店主が味のある一徹な方なのでパワーを感じた。
- ターゲットはいわゆる「ラーメン・オタク」ではないと思う。一般の視聴者に対して、ラーメンが奥深いと伝えたいのならば、道の奥にあるコアが何なのかが視聴者は知りたい。ラーメンを通してその奥にあるものを一話一話引き出せたらよいと思う。娯楽番組より教養番組に近い評価があってよいと思う。
- 1話、2話と見て、これはグルメ番組ではなくビジネス番組だと思った。登る山は同じなのだが、見事に登り方が違うのだと思った。2話の「MENSHO(メンショー)」は、グローバル・ビジネスの考え方。1話の「べんてん」はリピーター・ビジネスだ。
- ナレーションがないため、逆に視聴者側が考えながら見るのでイメージが広がる。新しい作り方だ。
- ラーメン店主の方々の名言を集めてビジネス書として出版されてもいいのではと思った。
- ノー・ナレーション・ドキュメンタリーをシリーズで作るのは多分、(民放では)テレビ史上初めてなのかもしれないと思った。ドキュメンタリーにはナレーションを入れるのは常道になっている。ノー・ナレーションは制作が難しい。しかしノー・ナレーションであるからむしろ引き込まれる。これはちょっとした事件だ。
- 人物の肩書が5~6秒しか出ないので読み取れない。ナレーションを使わない分、見る側の立場に立ってテロップに気を使った方がいい。ノー・ナレーションの難しさは説明や解説ができないというところ。ラーメン屋店内は狭いので撮るのが難しいはずだがカメラの腰が据わっていて、映像ががんばっていて、音楽もおもしろい。それでノー・ナレーションでも抵抗感なく普通に見られた。感銘を受けた。
- 田中さんが食材は「普通のものを使っている」と言うが、その「普通」がどういうことなのかよくわからなかった。2話の店主が逆に食材にこだわる人だった。番組では、ラーメンを作るのに何が正しいのかは言わない。視点をきちんと持って作っている。
- 男の番組だと思った。店主が怖い感じ。生き方もすごいし、自分の生き方を押し通す力はすばらしいが1時間見通すには我慢が必要。2話は見やすかった。
- タレントを使わない方針は賛成できる、すばらしいこと。ナレーションを入れないと相手の話を引き出す力が必要だが、その力がある人がやっていたと思う。
- 映像や音楽にこだわっていた。外国人にも伝えられると思った。新渡戸稲造の「武士道」と「ラーメン道」をかけているという制作者の意味がよく分かった。
- ラーメンを「○○道(どう)」として出すという企画意図がすばらしかった。
- 350gという量は女性には食べきれない。男性的だと思った。
- 「べんてん」が昭和、「MENSHO(メンショー)」が平成の男性を表しているようだと思った。
- ラーメンという料理そのものは男の料理だ。緑が足りなかった。食に関する7つの要素のバランスが欠けているのがラーメン。この店に毎日三食食べに来る人がいるということで、サラダも出してあげなければと思いながら見た。
- ラーメンは世界中で流行っている。この番組を海外に出すことで「たかがラーメン、されどラーメン」、ここまでやっておいしいものを作っているとわかってもらい、「日本のラーメンを食べなくては」と思ってもらいたい。
これらの意見に対して事業者側からは以下のような発言があった。
- 企画意図:昔から料理を食べるのも作るのも好きで、フジテレビでも料理の番組をやっていた。今回、地上波ではない「大人が見られる食の番組」を考えた。多くの人に共感を得られる深いものを作りたかった。ラーメンは深くて広い題材で、日本人の国民食でありながら熱狂的ラーメンファンもいて、海外でもブームになっており、外国人が日本にラーメンを食べにくるほどだ。
- 今回番組を作るにあたってルールを7つ作った。1.一話で一店舗しか扱わない。2.タレントを使わない。3.ナレーションを入れない。4.人間にフォーカスする。5.映像の美しさにこだわり、4Kで一部撮影する。6.外国人に日本文化の奥深さを伝えられる番組にする。「ラーメン道」の「道」は新渡戸稲造著の「武士道」の「道」から来ている。7.シリーズ化して100本は作りたい。
- 年齢など基本情報が不足していたというご指摘、テロップの大きさや秒数に関しては、チャンスがあれば次回制作時には改善したい。
- カットの繰り返しが多いというご指摘もそのとおりだ。ラーメン店の中の映像のバリエーションが少なく、1話は特に編集に苦労した。
- シリーズ化して、今後も作りたいがクオリティを保っていくには、制作費がかかるのでそのへんも相談しながら検討していきたい。
報告事項「2017年10月~2018年3月の放送番組の種別の分類と種別ごとの放送時間」について
改正放送法に基づき、2017年10月~2018年3月の第3週に放送した番組の種別の分類と、種別ごとの放送時間の合計などが報告された。(内容は当社HP上に別掲→)